コラム

【相続税申告前に】マンション節税が封じられた?新評価ルールの相続実務とタワマン所有者が今やるべき対策を税理士が解説|フォーカス会計事務所

【相続税申告前に】マンション節税が封じられた?新評価ルールの相続実務とタワマン所有者が今やるべき対策を税理士が解説|フォーカス会計事務所

相続税申告をご検討中の皆様、2024年から適用された「マンション相続税評価の新ルール」についてもご準備はお済みでしょうか?

税理士の視点から重要なポイントをお伝えします。

墨田区・江戸川区・江東区でマンションをお持ちの50代~70代の皆様、いつもご家族の将来を思い、大切な資産をどう残すかご検討されていることと存じます。

「うちのマンション、相続税がすごく高くなるってニュースで見たけれど本当?」「タワーマンションじゃないから関係ないよね?」といったお声を、私ども税理士も日々のご相談の中で頻繁に耳にするようになりました。

実は、2024年(令和6年)1月1日より、マンションの相続税評価額の計算ルールが大きく変わり、すでに「想定外の相続税」に直面するケースが実務の現場でも出始めています。

本記事では、相続の最前線に立つ税理士の視点から、新ルールの実態と、今すぐご家族で取り組むべき対策について詳しく解説いたします。

💰「タワマン節税」はもう使えない?評価ルールが厳格化された背景

そもそも、なぜ国税庁は長年続いてきた不動産の評価ルールを急に変更したのでしょうか。

これまで、不動産の相続税評価額(税金計算のベースとなる金額)は、市場で実際に売買される「時価」の7割~8割程度に収まるのが一般的でした。

しかし、タワーマンションのような高層物件の場合、高層階になるほど市場価格が数億円に跳ね上がるにもかかわらず、相続税評価額は「土地の持分」と「建物の固定資産税評価額」で計算されるため、市場価格の「2割~3割」にとどまるケースが多発していました。

1億円の現金をそのまま残せば1億円として課税されますが、1億円でタワマンを買って相続すれば、評価額が2,000万円になり、大幅に税金を減らすことができます。

これが、いわゆる「タワマン節税」です。

しかし、「同じ1億円の価値がある財産なのに、現金かタワマンかで税負担が極端に違うのは、公平な税制とは言えない」という批判が高まり、国税庁が本格的なメスを入れるに至ったのです。

【税理士からのポイント】~「タワマン専用」のルールではありません!~
「うちは普通の分譲マンションだから無関係」と安心される方が非常に多いのですが、ここは税理士として強く警鐘を鳴らしたいポイントです。
今回のルール変更は「タワマン」と呼ばれる高層物件に限定されたものではなく、「3階建て以上の分譲マンション」の多くが対象となる広範なものです。
ごく一般的なファミリータイプのマンションであっても、評価額が引き上げられる可能性がある点に十分ご注意ください。
(※二世帯住宅や一棟所有の賃貸マンション、事業用テナントなどは対象外です)

🏠2024年始動「マンション新評価ルール」の仕組みをプロが解説

では、具体的にどのように計算が変わったのでしょうか。

新ルールでは、国税庁がマンションの「市場価格」と「相続税評価額」のズレを補正するために、新たに4つの指標を組み合わせた複雑な計算式を導入しました。

  1. 築年数(新しいほど市場価格との乖離が大きくなりやすい)

  2. 総階数(マンション全体の階数が高いほど乖離しやすい)

  3. 所在階(お持ちのお部屋の階数が高いほど乖離しやすい)

  4. 敷地持分狭小度(お部屋の広さの割に、持っている敷地面積が小さいほど乖離しやすい)

この4つのデータを用いて「乖離率(市場価格と評価額がどれくらい離れているか)」を算出します。
この計算の結果、従来の評価額が理論的な市場価格の60%を下回ると判定された場合、評価額が60%の水準まで強制的に引き上げられます(=増税になります)
【税理士からのポイント】~自己判断での計算は危険です~
国税庁のホームページには、数値を入力すれば計算できるExcelツールが用意されています。
しかし、実務上、登記簿謄本(全部事項証明書)から正しい「敷地権の割合」を読み取ること自体が難しいうえ、登記簿上の正しい面積(内法)を確認せず、不動産サイトや購入時の資料に記載された面積(壁芯)をそのまま入力してしまうミスが非常に多く見られます。
少しの入力ミスで評価額が数百万円単位で変わることもありますので、安易な自己計算は避け、専門家によるシミュレーションをご活用ください。

🎯墨田区・江戸川区・江東区の分譲マンションに潜む「思わぬ増税リスク」

税理士として日々このエリアのお客様と接している中で、今回の新ルールが特に深刻な影響をもたらすと感じているのが、墨田区・江戸川区・江東区にお住まいの皆様です。

江東区の豊洲や有明といった湾岸エリアの高層マンションにお住まいの方はもちろんですが、錦糸町や押上周辺の再開発で資産価値が上がっている墨田区、そして葛西や船堀など都心へのアクセスが良くファミリー層に人気の江戸川区など、このエリアのマンション市場価格は全体的に上昇傾向にあります。

「買った時は3,000万円だったけれど、今は6,000万円で売れるらしい」といった物件にお住まいの場合、従来の低い評価額のまま申告できると思っていたら、新ルールの適用で評価額が従来の1.5倍から2倍近くに跳ね上がるケースが実際に起きています。これはつまり、想定していなかった多額の相続税がご家族に降りかかることを意味します。

📝我が家のマンションは大丈夫?新ルールの直撃を受けやすい物件とは

ご所有のマンションが新ルールの影響(評価額の大幅な引き上げ)を受けやすいかどうか、以下のチェックリストで確認してみてください。

当てはまる項目が多いほど、増税のリスクが高まります。

  • [ ] マンション全体の階数が高い(目安として10階建て以上、特に20階以上)
  • [ ] お持ちのお部屋が高層階にある
  • [ ] 築年数が浅い(築10年以内など)
  • [ ] 敷地面積に対して戸数が多い(一人あたりの土地の持ち分が極端に少ない)

例えば、「駅前のタワーマンションの25階、築5年」といった物件は、最も影響を強く受けます。

逆に、「築40年の5階建てマンションの1階」といった物件であれば、評価額が下がって有利になるケースもあります。

💡新ルール適用後の相続実務!税理士が推奨する「今すぐやるべき3つの対策」

ルールの変更はすでに始まっています。

「どうしよう」と悩む前に、私ども税理士が推奨する具体的な3つの生前対策にすぐにお取り組みください。

対策①:まずは「本当の評価額」を知る(現状把握)

まずは税理士に依頼し、「新ルール適用後のマンション評価額」と、現時点での金融資産などを合算した「おおよその相続税額」をシミュレーションしてください。

ここが全ての出発点となります。

対策②:納税資金(現金)の確保と見直し

評価額が上がり、相続税が増えるということは、「税務署に納めるための現金」がより多く必要になるということです。

マンションという「分けられない・すぐに換金できない財産」がメインの場合、お子様が相続税を払えず、泣く泣くマンションを売却手放すことになりかねません。

生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を活用するなど、現金を手元に残す対策が必要です。

対策③:「小規模宅地等の特例」の徹底活用

マンションの評価額が上がるのであれば、それを合法的に下げる特例を活用するしかありません。

その代表格が「小規模宅地等の特例(居住用)」です。

【税理士からのポイント】~特例の要件は「亡くなる前」に整える必要があります~
この特例を使えば、マンションの「土地部分」の評価額を最大80%も減額できます。
しかし、適用するためには「配偶者が相続する」「同居している親族が相続する」、または「持ち家がない親族(家なき子)が相続する」といった極めて厳格な要件を満たす必要があります。
「将来、同居しようと思っていた」と相続発生後に言っても手遅れです。
お元気な今のうちから、誰にマンションを引き継がせるのか、特例の要件を満たすための住民票や実態の移動をどうするか、ご家族で話し合っておくことが最高の節税対策になります。

🤝「争族」を防ぐために。早めの専門家相談がご家族を救います

マンションの評価ルール変更は、多くの方にとって「寝耳に水」の増税です。

準備を怠れば、残されたご家族が金銭的な負担を強いられるだけでなく、「誰がこのマンションを継ぐのか」「誰が税金を払うのか」で兄弟間の争い(争族)に発展してしまう恐れがあります。

ご自身の築き上げた大切な資産が、ご家族の負担になってしまうのは本意ではないはずです。

私たち税理士は、単なる税金の計算屋ではなく、ご家族の円満な資産承継をサポートする伴走者です。

少しでも不安を感じたら、ぜひお早めに専門家へご相談ください。

当事務所について

フォーカス会計事務所では、相続税申告・贈与税申告をはじめとする税務サービスを提供し、以下の体制でサポートしています。

・税理士・公認会計士による正確な財産評価と税務申告
・行政書士資格による遺産分割協議書作成サポート
・相続に詳しい司法書士との連携による相続登記対応
一般社団法人相続コミュニティセンターでの総合相談窓口

代表税理士が公認会計士・行政書士の資格も有しているため、相続に関わる税務から関連手続きまで効率的にサポートいたします。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

大切なご家族から引き継いだ不動産を適切に管理し、将来の世代に引き継いでいくお手伝いをさせていただきます。

 

【免責事項】

※本記事は2026年3月時点の法律・制度に基づいて一般的な情報を提供するものです。法改正等により内容が変更される可能性があります。

※記事内容は一般的な情報提供を目的としており、個別具体的な法的助言や税務助言を行うものではありません。実際の手続きや判断については、必ず司法書士・税理士・行政書士等の有資格者にご相談ください。

記事監修:公認会計士・税理士・行政書士 内海真樹
作成日:2026年3月